地震後にまず確認する場所は、家族がいる場所、玄関と避難経路、火の元と分電盤の3つ

激しい揺れが収まった直後は、台所へ走るより先に、声を出して家族の位置を確かめる
次に玄関や廊下を見て、外へ出られる道を確保する
そのうえで、火の元、ガス元栓、ブレーカーを確認する流れが現実的だ

地震直後は、頭では「火を消す」「玄関を開ける」と分かっていても、実際には体が動かないことがある

揺れが収まっても、床には割れた食器、倒れた荷物、外れた家電コードが残る
浴室や2階にいる家族の声が聞こえにくいこともある

だから最初に決めておきたいのは、防災グッズの数ではなく、揺れが収まった直後に家の中のどこを見るかである

地震後まず確認する場所は家族・避難経路・火の元の3つ

地震後の初期行動は、広げすぎると動けなくなる

水を汲む
防災リュックを探す
スマホで情報を見る
棚の片付けを始める

どれも必要になる場面はあるが、揺れが収まった直後に優先することではない

まず見る場所は、次の3つに絞る

  • 家族がいる場所
  • 玄関、廊下、階段などの避難経路
  • 台所、ガス元栓、分電盤まわり

この順番にする理由は単純で、人が無事で、外へ出る道があり、火災のきっかけを減らせる状態を先に作るためだ

特に家の中では、割れた皿やグラスが床に散らばることがある
東日本大震災の体験談でも、揺れの最中は火の元へ行くこともできず、揺れが落ち着いてから戻ると食器が割れていて、家の中でも履物が必要だったという声がある

「まず火を消す」と覚えていても、そこまで歩けないなら意味がない

地震後の確認は、家族の声、足元、出口、火の元の順で考えるほうが失敗しにくい

地震直後は揺れが収まるまで動かない

強い揺れの最中に、台所や玄関へ走るのは危ない

食器棚、冷蔵庫、照明、テレビ、棚の上の物
家の中では、普段は動かないものが突然動く

4階建てアパートの1階で被災した女性の体験では、地震の瞬間は動けず、火の元を消しに行くこともできなかったという
この感覚は、防災の手順だけを読んでいる時には想像しにくい

揺れている間は、火よりもまず身を守る
机の下に入れるなら入る
入れないなら、頭を守り、倒れそうな家具や窓から離れる

火の元確認は、揺れが収まってからでよい

ただし、目の前で火が出ている、小さな火が見えていて逃げ道もある、という場合は状況が変わる
自分で近づくのが危ないと感じるなら、無理に消そうとせず避難を優先する

「消せるか」ではなく、逃げ道を失わずに動けるかを見るほうが安全に近い

地震後まず確認する場所1:家族がいる部屋

揺れが収まったら、まず声を出す

「大丈夫?」だけで終わらせず、誰がどこにいるかを確認する
同じリビングにいる人だけでなく、浴室、トイレ、寝室、子ども部屋、2階、高齢者の部屋まで見る

マンション5階で被災した家庭では、大学生の娘がシャワー中だった
母親は浴室にいた娘を呼び出し、廊下をまっすぐ歩けず壁に体をぶつけながら玄関まで移動したという

この場面で大事なのは、家族が「家の中にいる」と分かっていても、安全とは限らないこと

浴室では床が濡れている
トイレではドアが開かなくなることがある
2階では家具や荷物で廊下がふさがることもある

返事がない場所から先に確認する
これだけでも、片付けや情報確認を始める前に見るべき順番がはっきりする

浴室・トイレ・2階は返事を待たずに見る

家族確認で見落としやすいのは、個室にいる人

入浴中なら服を着ていない
トイレならすぐ動けない
高齢者や子どもは、怖くてその場から動けないこともある

能登半島地震の体験談では、16時10分ごろに強い揺れがあり、体感で1分ほど続いたあと、家中に物が散乱した
揺れが収まってから履物を履き、母と祖母の居場所を探し、母は2階、祖母は玄関の外にいたと分かった

このように、家族は思ったより別々の場所にいる

地震後の家族確認は、人数確認ではなく場所確認
誰が、どの部屋にいて、自力で出られるかを見る

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地震後まず確認する場所2:玄関と避難経路

家族の位置が分かったら、次に見るのは玄関と廊下

地震後の避難経路は、ドアが開くかどうかだけでは決まらない
玄関まで歩けるか
廊下にガラスが落ちていないか
階段に物が倒れていないか
外へ出た先に瓦やブロック塀が落ちていないか

ここまで見て、初めて「外へ出られる」と判断しやすくなる

東日本大震災の体験談では、帰宅後に玄関を開けると靴が散乱し、2階リビングのドアが開かなかったという話がある
キッチンには食器、コップ、ガラス片が散らばっていた

外から見ると家が無事そうでも、室内は別の状態になっていることがある

玄関を開けたら終わりではなく、玄関までの道と外の足元まで見る

玄関ドアは早めに開けて出口を確保する

大きな地震では、建物のゆがみや落下物でドアが開きにくくなることがある

特にマンションでは、玄関ドアが外へ出る主な経路になる
揺れが収まったら、無理のない範囲でドアを開け、閉じ込められないようにしておく

ただし、外へ飛び出す前に周囲を見る

マンションなら、廊下、階段、エレベーター前
戸建てなら、瓦、塀、ブロック塀、ガラス、地割れ
玄関の外にも危険が残ることがある

能登半島地震の体験談でも、玄関を開けて外へ出たあと、家の前の地面にひびや段差があったという場面がある

ドアを開ける目的は、すぐ外へ走ることではなく、逃げ道を失わないこと

廊下と床はスリッパより底のある履物で見る

揺れの後に台所へ向かう時、意外と危ないのが足元

皿、グラス、調味料の瓶、照明の破片
床に落ちたものは、薄いスリッパでは踏み抜くことがある

寝室の横に底のある履物を置いておくと、夜中の地震でも動きやすい
玄関に靴が散乱していると、そこまで取りに行く間に足を切ることもある

日ごろ確認するなら、寝室から玄関までの通路を歩くつもりで見ると分かりやすい
廊下に物を置きすぎていないか
ドアの前に倒れそうな棚がないか
靴が取り出しやすいか

地震後の避難経路は、ドアではなく足元から崩れやすい

家具の固定方法そのものは、家具転倒防止を扱う194で分けて確認するとよい
この記事では、揺れが収まった直後に通れるかどうかだけを見る

地震後まず確認する場所3:火の元・ガス元栓・分電盤

家族の位置と出口を確認したら、火の元を見る

見る場所は、コンロだけではない

  • 台所のガスコンロ
  • ストーブやヒーターの周り
  • 倒れた電気器具
  • コンセントや延長コード
  • ガス元栓
  • 分電盤

地震後の火災対策では、火が見える場所だけでなく、電気とガスの状態も見る必要がある

2024年の能登半島地震で富山市にいた一人暮らしの体験では、帰宅後に映画を見ていた時に強い揺れを感じ、体感30秒以上の揺れのあと、机の下に潜った
揺れが収まってから自分の無事を確認し、ガス元栓を閉めて外へ出たという

この流れは、一人暮らしでも家族世帯でも参考になる

まず自分が動けるか
次に出口があるか
それから火の元とガスを見る

火の元確認は、急ぐより順番を間違えないほうが大切

台所の火の元確認は足元を見てから行う

台所は、地震後に物が散らばりやすい場所

食器棚から皿が落ちる
コップが割れる
調味料の瓶が転がる
冷蔵庫の扉が開いて中身が落ちることもある

その状態で、裸足や靴下のままコンロへ向かうと危ない

火の元を見る前に、まず床を見る
足を置く場所を決める
底のある履物が近くにあれば履く

火が消えているか
ガス臭がしないか
コンロの周りに燃えやすいものが落ちていないか

ここまでを、慌てず確認する

台所では、コンロより先に床を見る
火の元まで安全に近づけるかが最初の判断になる

ガス臭がある時は電気を触らず離れる

ガス臭がある、シューという音がする、元栓付近に違和感がある
このような時は、電気のスイッチや換気扇を安易に触らないほうがよい

火を消す
窓を開ける
元栓を閉める

こうした行動も、近づいて安全かどうかで変わる

少しでも危ないと感じるなら、無理に確認を続けず、家族と離れる
外へ出られるなら出る
自分で判断しきれない場合は、消防やガス会社などの案内に従う

ガス臭がある時は、確認より退避を優先する

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地震後のブレーカーを落とすタイミング

ブレーカーは、揺れた瞬間に走って落とすものではない

揺れの最中は身を守る
揺れが収まったら、家族と避難経路を確認する
家を離れて避難する時に、可能ならブレーカーを落とす

この順番で考えると分かりやすい

東京消防庁などの防災情報でも、避難する時はブレーカーを切り、ガスの元栓を締めることが通電火災やガス漏れへの対策として案内されている

停電中でも安心とは限らない
倒れた電気ストーブ、傷んだコード、家具に挟まれた延長コードがあると、復電した時に発熱や出火につながるおそれがある

避難で家を離れる前は、分電盤の場所を思い出してブレーカーを確認する

分電盤の位置は普段から見ておく

地震後に初めて分電盤を探すと、かなり焦る

玄関付近
洗面所
廊下の上
脱衣所の壁
収納の中

家によって場所は違う

賃貸では、分電盤の前に荷物を置いていることもある
夜なら暗くて見えにくい
踏み台がないと届きにくい高さにある家もある

普段の確認では、分電盤そのものを細かく操作する必要はない
まず、どこにあるか、家族も分かるか、前に物がないかを見るだけで十分

一人暮らしなら、自分が外へ出る前に触れる場所か
家族世帯なら、誰でも場所が分かるか

この差は大きい

火災やガス臭がある時はブレーカー操作を急がない

ブレーカーは通電火災対策として大切だが、どんな場面でも触ればよいわけではない

すでに火が出ている
煙が出ている
ガス臭が強い
分電盤までの道にガラスが散乱している

このような時は、無理に操作しない

逃げ道があり、近づいても危険が少ない
その場合に、家を離れる前の確認として考える

ブレーカーは命より優先しない
動ける状態、近づける状態の時だけ確認する

通電火災や感震ブレーカーの詳しい話は、停電時のブレーカー対策の記事で分けて扱うと、この記事の内容と混ざりにくい

地震後にやってはいけない初期行動

地震後は、正しい行動を増やすより、危ない動きを減らすほうが先

特に避けたいのは、次の行動

  • 揺れている最中に火を消しに走る
  • 裸足で台所へ行く
  • 家族確認より片付けを始める
  • 玄関を開けずに奥の部屋へ戻る
  • ガス臭があるのに電気を触る
  • 避難で家を離れるのにブレーカーを見ない

どれも、落ち着いていれば避けられる
けれど地震直後は、普段の判断がしにくい

たとえば、台所の皿が割れているのに、コンロだけを見に行く
浴室に人がいるのに、先にスマホで情報を探す
玄関が開くか分からないまま、奥の部屋へ荷物を取りに戻る

こうした小さな順番の違いが、二次災害やけがにつながりやすい

迷った時は、片付けより確認、確認より安全確保

住まい別に変わる地震後の確認場所

確認する3つの場所は同じでも、住まいによって見方は変わる

マンションは玄関ドアと共用廊下を見る

マンションでは、玄関ドアが開くかどうかが重要になる

室内で家族を確認したあと、玄関ドアを開ける
共用廊下に物が落ちていないか見る
階段へ向かう道が通れるかを見る

エレベーターは止まることがあるため、避難を考えるなら階段側の状態も見ておきたい

マンションでは、部屋の中だけでなく共用廊下までが避難経路

戸建ては玄関外の瓦・塀・ガス元栓を見る

戸建てでは、外へ出た直後の危険も見落としやすい


ブロック塀
庭の物置
外壁の一部
ガスメーター周辺

玄関を開けてすぐ外へ出られても、足元や頭上に危険が残ることがある

ガス元栓やメーターが屋外にある家では、揺れが収まって安全に近づける場合だけ確認する

戸建てでは、玄関の内側と外側をセットで見る

一人暮らしは自分の安全と連絡手段を分ける

一人暮らしの場合、家族確認の代わりに、まず自分が動けるかを見る

けがをしていないか
足元を見て歩けるか
玄関まで行けるか
ガス元栓や分電盤の場所が分かるか

その後で、家族や知人への連絡を考える

地震直後は電話がつながりにくいことがある
無理に通話を繰り返すより、メッセージや災害用伝言サービスなど複数の手段を使うほうが落ち着きやすい

ただし、この記事では連絡手段を深掘りしない
家の中の初期行動としては、自分の安全、出口、火の元を先に見る

地震後の二次災害を防ぐために普段から見ておく場所

地震は、起きた後に全部を思い出そうとしても難しい

だから普段のうちに、家の中で3か所だけ見ておく

1つ目は、家族がいる可能性のある部屋
浴室、トイレ、寝室、2階、高齢者の部屋

2つ目は、玄関までの道
廊下、階段、ドア前、靴の場所

3つ目は、火の元と分電盤
台所、ガス元栓、ストーブ周り、コンセント、ブレーカー

ここで大事なのは、完璧な防災部屋を作ることではない

寝室横に履物があるか
玄関ドアの前に物を置きすぎていないか
分電盤の前を荷物でふさいでいないか
ガス元栓の場所を家族が知っているか

このくらいなら、今日でも確認できる

地震後に迷わない家は、揺れる前に見る場所が決まっている家

まとめ

地震後まず確認する場所は、家族がいる場所、玄関と避難経路、火の元と分電盤の3つ

揺れの最中は動かず、収まってから声を出して家族の位置を確認する
次に足元を守り、玄関ドアや廊下を見て、外へ出られる道を確保する
そのあと、台所、ガス元栓、分電盤を確認する流れが現実的だ

火の元は大切だが、割れた食器の上を裸足で歩いてまで向かうものではない
ブレーカーも大切だが、火やガス臭がある中で無理に触るものではない

まずは家の中で、寝室から玄関まで歩くつもりで見る
その途中に履物があるか、ドア前に物がないか、分電盤まで近づけるか

全部を一度に変える必要はない
最初に見る場所を3つに絞るだけでも、揺れが収まった直後の迷いは減らしやすくなる

監修:佐藤進
保有資格:防災士

監修:鈴木隆

保有資格:家電製品アドバイザ