除湿機 コンプレッサー式 夏冷房を入れても部屋だけ暑い
目次
- 原因は故障ではなく、水分を取り除く時に出る熱と、本体が使った電力の熱が室内へ戻るためだ
- 夏にコンプレッサー式除湿機で室温が上がる仕組み
- 簡単にいえば、目には見えない湿気を水へ変えるために動いている熱になる
- エアコンとの大きな違いは、熱を逃がす場所にある
- メーカー資料でも、運転中に室温が2〜4℃ほど上がる場合があると案内されている
- 2022年6月、コンプレッサーを使う方式の除湿機を住宅内で動かし、吹き出し口付近を温度センサーで測った例がある
- 最初に見る場所は湿度計ではなく、温風がどこへ流れているか
- 2021年5月、3階建て住宅の1階でコンプレッサー式除湿機を使った家庭では、室温が約2℃上がった一方、湿度は約50%まで下がった
編集
夏にコンプレッサー式除湿機を動かすと、湿度は下がったのに部屋だけ暑くなることがある
原因は故障ではなく、水分を取り除く時に出る熱と、本体が使った電力の熱が室内へ戻るためだ
暑さを避けながら使うなら、除湿機だけで涼しくしようとしない
室温はエアコン冷房、冷房だけでは残る湿気は除湿機と役割を分けるほうが失敗しにくい
夏にコンプレッサー式除湿機で室温が上がる仕組み
コンプレッサー式除湿機は、湿った空気を本体へ吸い込み、内部で冷やして水滴に変える
この時に取り除いているのが、空気中の水分が持つ潜熱
簡単にいえば、目には見えない湿気を水へ変えるために動いている熱になる
その後、冷やした空気は内部の放熱部分を通り、温められて室内へ戻る
さらにコンプレッサーやファンが使った電力も、最後は熱として部屋に残る
エアコンとの大きな違いは、熱を逃がす場所にある
エアコン冷房は、室内から集めた熱を室外機で屋外へ出す
一方、据え置き型の除湿機は、冷やす部分も温める部分も同じ室内にある
そのため、吹き出し口の一部で冷たさを感じても、部屋全体で見ると熱は増える
コンプレッサー式はデシカント式より発熱が小さい傾向でも、室温を下げる家電ではない
メーカー資料でも、運転中に室温が2〜4℃ほど上がる場合があると案内されている
実際の上昇幅は、部屋の広さ、外気温、断熱性、運転時間によって変わる
吹き出し口33℃でも、部屋全体が33℃になるわけではない
2022年6月、コンプレッサーを使う方式の除湿機を住宅内で動かし、吹き出し口付近を温度センサーで測った例がある
運転から約10分後、吹き出し口は33℃になった
湿度は下がっていたが、温かい風が出続けるため、想像以上に暑く感じたという
ここで分けて考えたいのは、吹き出し温度と室温
33℃の風が出ていても、部屋全体がすぐ33℃になるわけではない
ただし、人が座る場所やベッドへ風が直接当たれば、室温の数字以上に暑く感じやすい
温風の向きを変える時は、エアコンの風と正面からぶつけない
人へ向けるのでもなく、空気が部屋の中を回る向きへずらす
最初に見る場所は湿度計ではなく、温風がどこへ流れているか
除湿機の前に立った時だけ暑いなら、置き場所の影響が大きい
部屋のどこにいても暑いなら、室温そのものが上がっている可能性を考える
同じ2℃上昇でも、運転前の室温で意味が変わる
2021年5月、3階建て住宅の1階でコンプレッサー式除湿機を使った家庭では、室温が約2℃上がった一方、湿度は約50%まで下がった
1階はもともとの室温が低く、2℃上がっても上階と同じ程度
この環境では、暑さより湿度が下がる利点のほうが大きかった
反対に、西日が入る部屋や最上階で、運転前から暑い場合は結果が変わる
23℃から25℃へ上がるのと、28℃から30℃へ上がるのでは、同じ2℃でも不快感が違う
元から暑い部屋では、湿度が下がっても熱気のほうが気になりやすい
除湿機を使うかどうかは、上がる温度だけでなく運転前の室温で判断する
北側や1階の涼しい部屋なら、多少の排熱を許容できることがある
反対に、西日が残る部屋や断熱性の低い最上階では、先に冷房で熱を逃がすほうが扱いやすい
エアコン冷房と除湿機は顕熱と潜熱で役割を分ける
夏の併用では、エアコン冷房を主役にする
エアコンが主に処理するのは、部屋の温度として感じる顕熱
除湿機は、空気中の水分が持つ潜熱を処理する
実際の運転では完全に分かれるわけではないが、生活上は次のように考えると分かりやすい
状態 先に使う機器 見るポイント
室温も湿度も高い エアコン冷房 まず暑さを下げる
室温は下がったが湿気が残る 除湿機を補助 温度を上げすぎず水分を減らす
冷房だけで快適になった 除湿機は足さない 余分な発熱を増やさない
除湿機を足して暑くなった 除湿機を止めるか弱める 室温を優先する
冷房をつけても湿度が下がらない時は、すぐ除湿機を足す前に、エアコンが設定温度へ達して弱運転になっていないかを見る
設定温度へ早く届くと、エアコンが空気を十分に冷やさなくなり、除湿も弱まりやすい
この状態で湿度だけが残るなら、除湿機を補助に使う意味が出てくる
一方、室温自体がまだ高いなら、先に冷房を続けるほうがよい
高温のまま除湿機を追加すると、排熱までエアコンが処理することになる
除湿機を足す判断は、暑いかどうかではなく、冷房後も湿気だけが残っているかで決める
冷房をつけても湿度が下がらない原因は、エアコンの運転状態や部屋への湿気流入でも変わる
その切り分けは「エアコンの除湿でも湿度が下がらない原因」で詳しく確認できる
併用を始める時は温度と湿度を同時に見る
除湿機を追加する時は、湿度だけを見ない
一般的な湿度計が示すのは相対湿度
同じ水分量でも空気が温まると、表示される湿度は下がりやすい
つまり、除湿機を動かした後に湿度が下がっていても、すべてが水分回収の効果とは限らない
本当に確認したいのは次の3点
室温が上がり続けていないか
湿度が下がったあとも不快感が残るか
タンクに実際に水がたまっているか
湿度60%でも室温30℃なら暑く感じやすい
反対に、室温25℃で湿度60%なら、同じ数字でも過ごしやすさは変わる
目標湿度は55〜60%前後が目安として使われることが多いが、一律の停止基準ではない
住宅性能、人数、部屋干し量、外気条件、体調によって調整したい
湿度計の数字が下がっても、室温が上がり続けるなら併用を続けない
夏の目標湿度そのものを決めたい場合は、「夏の湿度は何%が快適か」で室温との組み合わせを先に見ると判断しやすい
常時併用より、必要な時だけ除湿機を足す
木造13畳の部屋で、エアコンを24℃前後にしても湿度が75〜80%まで上がり、除湿機を追加した家庭の例がある
エアコンと除湿機を24時間動かしたところ、湿度は約60%まで下がった
一方、月の電気代が約2万5,000円となり、負担を感じて除湿機の常時運転をやめている
この金額のすべてが併用によるものとは限らない
住宅性能、電気料金単価、ペット用設備、ほかの家電も影響する
ただ、除湿機の発熱をエアコンが冷やし続ければ、両方の消費電力が重なりやすい
併用するだけで節電になるわけではない
まず確認したいのは、除湿機本体に表示された定格消費電力
同じコンプレッサー式でも、運転モードや機種で差がある
次に、エアコン冷房だけで過ごした時と、併用した時の温湿度を比べる
湿度の改善が小さいのに室温だけ上がるなら、併用を続ける利点は薄い
節電の軸は短時間にすることではなく、効果が止まった状態で動かし続けないこと
何時間動かすかは、部屋の広さや水分量で変わる
運転時間の目安は、除湿機の運転時間を扱う記事で切り分けて確認したほうが分かりやすい
併用しても湿度が下がらない時に見る順番
冷房と除湿機を同時に使っても、湿度が思うように下がらないことがある
その時は設定温度を何度も変える前に、湿気が入り続ける場所を見る
最初は窓とドア
梅雨や蒸し暑い日に窓を開けたままでは、除湿した分だけ外から湿気が入ってくる
次に部屋の広さ
除湿機の適用畳数より広い空間や、ドアでつながった複数室では、回収が追いつきにくい
その次が水分の発生量
部屋干し、調理、入浴後の空気、複数人の滞在が重なると、除湿機を足しても湿度が下がりにくい
最後に置き場所
吸気口や吹き出し口が壁、カーテン、家具でふさがれていると、空気が循環しない
湿度が下がらない時は、設定より先に「外から入る湿気」と「室内で増える水分」を止める
換気が必要な場面では、窓を閉め切ることを優先しない
使用中の機器や住環境に応じ、取扱説明書に従って換気する
温風は人にもエアコンにも直接当てない
除湿機の温風が人へ向くと、部屋全体の室温以上に暑く感じる
エアコンの風へ正面から当てても、冷気の流れを乱しやすい
エアコンの真下や吹き出し口の正面は避けたほうが扱いやすい
置く時は、本体の前後左右に空間を残す
吸気口と吹き出し口を壁や布でふさがず、温風が部屋の一か所へたまらない向きにする
冷房中の空気が部屋を回っているなら、その流れに沿わせる程度でよい
除湿機の風を遠くまで強く飛ばす必要はない
人へ温風が当たらず、本体まわりに熱がこもらない位置を選ぶ
温度計を置くなら、除湿機の真横だけでは判断しにくい
人が普段いる高さと場所にも置き、運転前後を比べると変化が見えやすい
排熱が許容できる部屋と避けたい部屋
同じコンプレッサー式でも、使いやすさは住環境で変わる
北側や1階の部屋は、元の室温が低ければ排熱を許容しやすい
湿度が下がることで、かえって過ごしやすくなる場合もある
一方、西日が入る部屋、最上階、断熱性の低い築古住宅では、もともとの熱に除湿機の排熱が重なる
この環境では、先に冷房で室温を下げても、除湿機を足すと再び暑くなりやすい
気密性が低い住宅では、外から湿気も入り続ける
排熱は増えるのに湿度が十分下がらず、効率の悪い状態になりやすい
部屋の広さだけでなく、人数と水分量も見る
家族が集まる居室や部屋干し中は、一人で過ごす部屋より湿気の供給が多い
約2℃の上昇を許容できるかは、元の室温と湿気の入り方で決まる
冷房を止めた後の湿度戻りは別に考える
エアコンが設定温度へ達して弱運転になると、湿度が戻ることがある
この時に除湿機を補助として使うと、湿度の上下が小さくなったという温湿度記録もある
ただし、すべてのエアコンが同じ制御になるわけではない
冷房停止後の湿度上昇には、室内機内部の水分や外気流入も関わる
除湿機の排熱だけでは説明できない
そのため、本記事では「冷房中に湿気が残る時の補助」までにとどめる
冷房を切った後に湿度が急上昇する場合は、エアコンの内部乾燥と湿度上昇を分けて確認したい
まとめ
夏にコンプレッサー式除湿機で部屋が暑くなるのは、空気中の水分を水へ変える時の熱と、本体が使った電力が室内へ戻るため
吹き出し口の温風だけでなく、運転前後の室温も見る必要がある
使い方の中心は、除湿機だけで涼しくすることではない
室温はエアコン冷房で下げ、冷房後も湿気だけが残る時に除湿機を足す
今日試すなら、まず冷房だけで温度と湿度を確認する
その後に除湿機を追加し、湿度の下がり方と室温の上がり方を比べる
湿度が下がっても暑さが増すなら、そこで一度止める
数字だけで続けず、過ごしやすさまで見て判断するほうが失敗しにくい
監修:鈴木隆
保有資格:家電製品アドバイザ

