高齢者の防災グッズで見落としやすいのは、水や非常食よりも本人が毎日使っている薬、入れ歯、衛生用品、とろみ剤のような個人専用品

帰省した時に親の防災袋を開けると、保存水や缶詰は入っている
けれど、朝夕に飲む薬、お薬手帳のコピー、入れ歯ケース、いつもの尿漏れパッドは入っていない

この状態だと、避難所や在宅避難で困るのは「物が足りない」だけではない
薬の名前が分からない、食べにくい、トイレが不安、普段通りに過ごせないという形で負担が出やすい

高齢者の防災は、一般的な防災セットを買って終わりではなく、本人が朝起きてから寝るまでに使うものを家族と一緒に確認することが中心になる

高齢者 防災グッズの見落としは「毎日使うもの」から起きやすい

一般的な防災グッズには、飲料水、非常食、ライト、携帯トイレ、軍手などが入りやすい

もちろんそれらも必要だが、シニアの防災持ち物では、そこに本人専用のものを足せているかを見る必要がある

特に抜けやすいのは、次の3つ

確認すること

見落としやすい持ち物

薬を続けられるか

持病薬、お薬手帳コピー、薬の写真、服薬メモ

食べられるか

入れ歯、洗浄剤、口腔ケア用品、とろみ剤、介護食

トイレと清潔を保てるか

尿漏れパッド、大人用おむつ、おしりふき、防臭袋、手袋

親の家で防災袋を確認する時は、リュックの中身だけを見ると抜けに気づきにくい

洗面所、寝室、薬の引き出し、トイレ横の棚
この4か所を見て、普段使っているものが防災用にも分かれているか確認したい

高齢者の防災グッズは、買い足す前に「普段の生活で欠かせないもの」を書き出すほうが失敗しにくい

高齢者 防災グッズで持病薬を見落とさない備え方

持病薬は、高齢者の防災グッズで最優先に確認したい持ち物だ

避難所へ行けても、いつもの病院や薬局にすぐ行けるとは限らない
災害時は交通や医療機関の状況が乱れ、普段通りの受診が難しくなることもある

帰省中に親の防災袋を開けると、非常食は3日分入っているのに、薬はいつもの引き出しに残ったまま
お薬手帳も普段使いのバッグに入っていて、防災袋には何も入っていない

この状態だと、家族が代わりに説明しようとしても「白い小さい薬」「朝の血圧の薬」くらいしか言えないことがある

薬は、薬そのものと薬の情報を分けて備える

持病薬は1〜3日分を目安に医師や薬剤師へ相談する

非常用として何日分を持つかは、病気や薬の種類によって変わる

自己判断で薬を増やすより、定期受診の時に
「災害用に数日分をどう備えればよいか」
と医師や薬剤師へ相談しておくほうが安心

持ち出し袋には、まず1〜3日分を目安にする
在宅避難用の箱には、状況に合わせて追加分を分ける

薬は、次のように袋を分けると確認しやすい

分けるもの

置き場所の例

すぐ持ち出す薬

防災袋の上段

予備の薬

在宅避難用の箱

薬の説明書やコピー

チャック袋

かかりつけ医・薬局メモ

保険証コピーと同じ袋

薬袋をそのまま入れる場合は、湿気や水濡れも考えて、透明なチャック袋にまとめる
中身が見える状態にしておくと、家族や支援者も確認しやすい

お薬手帳コピーは財布・防災袋・スマホに分ける

お薬手帳は、災害時に薬の名前や飲み方を伝えるための大事な情報になる

ただし、本体を普段のバッグに入れている人も多い
避難時にそのバッグを持てなければ、情報ごと手元から離れてしまう

最低限、次の3か所に分けておきたい

入れるもの

置き場所

お薬手帳のコピー

防災袋

薬袋や薬の写真

スマホ

薬名・飲む時間・病名メモ

財布や保険証ケース

スマホだけに頼ると、充電切れやロック解除で困ることがある
紙だけだと、濡れたり置き忘れたりする

紙と写真を両方残すと、避難先で薬の説明をしやすくなる

薬袋、お薬手帳コピー、保険証コピー、薬局の連絡先を1つの袋に入れておくと、家族が見てもすぐ分かる
遠方の親なら、その袋を置いた場所をスマホで撮って共有しておくとよい

シニア 防災 持ち物で入れ歯用品を忘れやすい理由

入れ歯は、防災袋に入れ忘れやすい

普段は洗面所、枕元、食卓の近くに置いていることが多く、リュックの中に入れる発想になりにくいからだ

夜の避難を想定して、寝室から玄関まで歩いてみる
懐中電灯は取れても、入れ歯ケースや洗浄剤は洗面所に残ったままになりやすい

避難先で入れ歯がないと、やわらかい食事でも食べにくい
さらに、人前で口元を気にして話しにくくなる人もいる

日本歯科医師会の災害時口腔ケア資料でも、被災後の口腔衛生や義歯の管理が大切だと示されている
体調への影響が心配な人は、歯科医師やかかりつけ医にも確認しておきたい

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入れ歯ケース・洗浄剤・口腔ケアシートを1袋にする

入れ歯用品は、バラバラに置くと避難時に探せない

防災用には、次のものを1袋にまとめておく

入れ歯まわりの持ち物

目安

入れ歯ケース

1個

義歯洗浄剤

数回分

入れ歯用ブラシ

1本

口腔ケアシート

1日1〜3枚を目安に数日分

小さなコップ

1個

チャック袋

2〜3枚

名前を書いた収納袋

1枚

避難所では、入れ歯を外す場所が気になることがある
水が少ない時も、毎回きれいに洗えるとは限らない

そのため、洗浄剤だけでなく、口腔ケアシートやチャック袋も一緒に入れておく
洗う道具だけでなく、外した時に隠せる袋まで考えると使いやすい

入れ歯用品は洗面所ではなく防災用を別に作る

普段使いの入れ歯ケースをそのまま避難用にすると、結局いつもの場所から動かせない

防災用は、別に小さなセットを作るほうが現実的だ

入れ歯ケース、洗浄剤、口腔ケアシートを並べると、足りないものが目で分かる
洗面所の引き出しではなく、防災袋の近くに置いた時に初めて「避難時に持てる備え」になる

夜間避難を想定するなら、寝室から玄関までの動線上に置く
同居なら実際に一度歩いて確認し、遠方なら置き場所の写真を共有しておくとよい

高齢者 防災グッズでとろみ剤・介護食を見落とさない

非常食はあっても、本人が食べられなければ意味が薄くなる

レトルトご飯、乾パン、缶詰、アルファ米は便利だが、噛む力や飲み込む力が弱い人には合わないことがある

普段からむせやすい人、とろみ剤を使っている人、やわらかい食事を選んでいる人は、普通の非常食だけでは足りない

高齢者の防災では、食料の量より「本人が開けられるか、噛めるか、飲み込めるか」を先に見る

とろみ剤は普段の使い方から回数を逆算する

とろみ剤は、使う人と使わない人で必要性が大きく変わる

普段から飲み物に使っているなら、1日に何回使うかを見る
朝、昼、夜、薬を飲む時など、使うタイミングを書き出すと必要量が見えやすい

持ち出し袋には数回分
在宅避難用の箱には数日分

このように分けておくと、リュックが重くなりにくい

ただし、飲み込みに不安がある場合は、自己判断で増やすより、医師、歯科医師、薬剤師、介護職などに確認しておくほうが安心

介護食は一度家で食べてから備える

災害用にやわらかい食品を買っても、本人が食べにくい場合がある

家で一度出してみると、袋が硬くて開けにくい
味が濃い
スプーンがないと食べにくい
量が多くて残る

こうした小さな問題が見つかる

特に握力が弱い人は、パウチの切り口やペットボトルのキャップで止まることがある
食べ物そのものより、開封できるかどうかが先に問題になることもある

状態

備えたいもの

むせやすい

とろみ剤、ゼリー飲料

噛む力が弱い

やわらかい介護食、スプーン

食欲が落ちやすい

食べ慣れた味のレトルト、栄養補助食品

水分を取りにくい

本人が飲みやすい飲み物

食事の備えは、賞味期限だけで判断しない
一度開けて、本人が食べられるかを確認してから備蓄に回すほうが失敗しにくい

シニア 防災 持ち物で尿漏れパッド・大人用おむつは普段と同じものを入れる

トイレまわりの備えは、家族が確認しにくい部分だ

けれど、避難所や在宅避難でトイレが使いにくくなると、高齢者本人の不安はかなり大きくなる

普段から尿漏れパッドを使っている人なら、防災用にも同じメーカー、同じサイズ、同じ吸収量のものを入れておきたい

防災用だからと別の商品を入れると、厚みが違う
肌触りが違う
ずれる感じがある
においが気になる

避難所で初めて使うには、かなり不安が大きい

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尿漏れパッドは持ち出し用と在宅避難用に分ける

持ち出し袋には、まず数枚
在宅避難用の箱には、普段の使用量から数日分を目安に分ける

1日に何枚使うかは人によって違うため、普段の交換回数から逆算する
朝だけ使う人と、日中も使う人では必要量が変わる

一緒に入れたいのは、次のもの

トイレまわりの持ち物

役割

いつもの尿漏れパッド

普段と同じ安心感

必要な人は大人用おむつ

トイレ移動が難しい時の備え

おしりふき

水が少ない時の清潔対策

防臭袋

使用後のにおい対策

使い捨て手袋

介助や片付け用

黒い袋

人目を避けるため

肌着の替え

漏れた時の交換用

保湿剤

肌荒れが気になる時の備え

パッドやおむつは、家族が一方的に入れると本人が嫌がることもある

「避難所でトイレが混むかもしれないから、いつものを数枚入れておこう」
このように、日常の延長として話すほうが受け入れられやすい

本人の尊厳に関わる持ち物ほど、普段使っているものをそのまま備える

高齢者 防災グッズで老眼鏡・補聴器・杖を忘れない

老眼鏡、補聴器、杖は、命に直結する防災用品に見えにくい

しかし避難所では、掲示物を読む
呼びかけを聞く
夜中にトイレまで歩く

この基本動作に関わる

老眼鏡がないと、薬の説明や避難所の掲示が読みにくい
補聴器の電池が切れると、アナウンスを聞き逃しやすい
杖がないと、暗い廊下や階段の移動が不安になる

補聴器電池・老眼鏡・杖は寝室から玄関までで確認する

夜に避難する場面を想定して、寝室から玄関まで一度歩いてみる

その時に必要になるものが、本人の避難動線に置くべきものだ

持ち物

備え方

老眼鏡

古い予備を防災袋へ

補聴器

予備電池、充電器、乾燥ケース

玄関近く、寝室近くに置く

保険証・介護保険証コピー

薬情報と同じ袋へ

補聴器の電池は、持ち出し袋に数個
充電式なら、充電器やケーブルも一緒に置く

集合住宅なら、階段で避難する可能性がある
戸建てなら、寝室、玄関、台所の備蓄箱が離れていることもある

環境によって必要なものは少し変わるが、見る順番は同じ
寝室から玄関まで動いて、途中で必要になったものを防災用品に足す

高齢者 防災グッズは持ち出し袋と在宅避難用に分ける

高齢者の防災グッズは、全部をリュックに入れると重くなる

薬、入れ歯用品、パッド、介護食、とろみ剤、着替え、飲料水
これをすべて詰めると、本人が背負えない重さになりやすい

だから、すぐ持つ袋家に残す備蓄箱に分ける

すぐ持ち出す袋に入れるもの

避難所や親戚宅へ移動する時に、最初に必要になるものを入れる

持ち出し袋に入れるもの

目安

持病薬

1〜3日分を目安に相談

お薬手帳コピー

1部

保険証・介護保険証コピー

1部

入れ歯ケース

1個

口腔ケアシート

数枚

尿漏れパッド

数枚

老眼鏡の予備

1つ

補聴器の予備電池

数個

家族連絡先メモ

1枚

持ち出し袋は、本人が持てる重さかを確認する

実際に背負って、玄関まで歩く
それだけでも、重すぎるかどうか分かりやすい

持てない重さなら、水や食料を無理に詰めるより、本人専用品を優先する
水や食品は、在宅避難用の箱に分けるほうが扱いやすい

在宅避難用の箱に入れるもの

自宅に残れる場合や、支援が来るまで家で過ごす場合に使うものを入れる

在宅避難用の箱に入れるもの

確認すること

追加の薬情報

家族も分かるか

介護食

本人が開けて食べられるか

とろみ剤

普段の使用回数に合うか

大人用おむつ

サイズが合うか

尿漏れパッド

普段と同じ商品か

おしりふき

取り出しやすいか

防臭袋

使用後に入れやすいか

使い捨て手袋

介助する人も使えるか

着替え

季節に合うか

口腔ケア用品

水が少ない時も使えるか

遠方の親の場合は、箱の置き場所を写真で共有しておく

玄関横、寝室の棚、台所の備蓄箱
場所の名前だけではなく、棚を開けた状態まで撮ると伝わりやすい

近所の親族や支援者に頼む可能性があるなら、誰が見ても分かるようにラベルを貼っておく
遠方の親の防災は、中身だけでなく置き場所まで共有して初めて使いやすくなる

高齢者 防災グッズの見落としリスト

最後に、一般的な防災セットへ追加したい高齢者向けの持ち物を整理する

水、ライト、非常食のような基本用品とは別に、本人の体調や生活に関わるものを確認したい

分類

見落としやすい持ち物

確認すること

持病薬、お薬手帳コピー、薬の写真

何日分あるか、飲み方が分かるか

医療情報

保険証コピー、介護保険証コピー、病名メモ

家族以外にも伝わるか

口腔ケア

入れ歯、ケース、洗浄剤、口腔ケアシート

水が少なくても手入れできるか

食事

とろみ剤、介護食、スプーン

本人が食べられる硬さか

トイレ

尿漏れパッド、大人用おむつ、防臭袋

いつもの商品か

清潔

おしりふき、手袋、着替え、保湿剤

肌荒れやにおい対策ができるか

視聴覚

老眼鏡、補聴器、補聴器電池

情報を読める・聞けるか

移動

杖、靴、介助ベルト

夜間でも動けるか

このリストは、買い物リストとして見るより、親や家族の生活確認として使うほうが合っている

朝起きて薬を飲む
食事をする
入れ歯を洗う
トイレへ行く
寝る前に補聴器や眼鏡を外す

この流れをたどると、本人にしか必要ないものが見つかりやすい

ペットの防災用品は、必要な持ち物や避難先の考え方が変わるため、この記事では扱わない
ペットと一緒に避難する備えは、記事211のペット防災で分けて確認すると混ざりにくい

まとめ

高齢者の防災グッズの見落としは、一般的な非常用品だけを先にそろえ、本人が毎日使うものの確認が後回しになることで起きやすい

水や保存食はあるのに、お薬手帳のコピーがない
入れ歯洗浄剤が洗面所に残っている
尿漏れパッドが普段と違う
とろみ剤や介護食を一度も試していない

こうした小さな抜けが、避難所や在宅避難では大きな不安につながりやすい

まずは、防災袋を開ける前に、本人の1日の流れを見る
朝起きてから寝るまでに使うものを、持ち出し袋と在宅避難用の箱に分ける

それだけでも、高齢者の防災グッズはかなり現実に近づく

全部を一度にそろえようとしなくてよい
薬、お薬手帳、入れ歯用品、いつもの衛生用品から確認すると、避難後に困りやすい抜けを減らしやすくなる

監修:佐藤進
保有資格:防災士

監修:鈴木隆

保有資格:家電製品アドバイザ