朝起きる時に腰へ力を入れないと起き上がれない
夜中にトイレへ行きたいのに、布団から上体を起こすまでがつらい

この悩みで電動ベッドを使うなら、見るべきなのは背もたれの高さだけではない
背上げ角度、膝上げ、マットレスの硬さ、足裏が床につく高さが合っていないと、上体は起きても身体が足側へずれやすい

最初は背上げを一気に上げず、30度前後を目安に、苦しさやずれが出ないか確認する
そこから膝上げ、手すり位置、マットレスのずれを合わせるほうが、家庭での起き上がりは失敗しにくい

ただし、腰痛が強い人、骨折後、手術後、息苦しさやしびれがある人は、自己判断で角度を決めないほうがよい
医師、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員などに確認しながら調整するほうが安心だ

電動ベッドの使い方は背上げ角度だけで決めない

電動ベッドの使い方で最初に迷うのは、背もたれをどこまで上げるか
けれど、起き上がりにくさは角度だけでは決まらない

朝の寝室でリモコンを押し、背中だけをぐっと上げる
その時に枕が上へ押され、腰が足側へずれ、膝の裏が突っ張るなら、角度より先に姿勢の作り方を見る必要がある

電動ベッドは、背中を起こす家具ではなく、起き上がりの流れを作る道具と考えたほうがよい

見る順番は次の通り

  • 背上げ角度
  • 膝上げの有無
  • マットレスの曲がり方
  • 敷きパッドや枕のずれ
  • ベッド端に座った時の足裏
  • 手すりに自然に手が届くか
  • 夜中でもリモコンが取れる位置か

たとえば、夜中に3回ほどトイレへ行く人なら、寝心地だけで選ぶと足りない
暗い部屋でリモコンを探し、背中を起こし、足を横へ出し、手すりを握って立つ

この一連の動きができるかどうかで、使いやすさが変わる

電動ベッドの背上げ角度は30度前後を目安に試す

背上げ角度は、高くすればするほどラクになるわけではない

最初に試しやすいのは、背上げ30度前後
いきなり座位に近い角度まで上げるのではなく、10〜15度くらいから少しずつ上げて、腰、胸、首まわりの違和感を見る

30度前後まで上げた時に、次の状態が出るなら無理に続けない

  • 胸やお腹が押される感じがある
  • 腰がマットレスに強く当たる
  • 枕が上へずれて首が詰まる
  • 身体が足側へ滑る
  • 足を横へ出す前に姿勢が崩れる

背上げで腹部や胸まわりに圧迫感が出る人もいる
特に、自分で身体の位置を直しにくい人は、背中とマットレスの摩擦で身体が下へ動きやすい

30度前後は正解の角度ではなく、違和感を確認するための出発点
ラクに感じる角度は、体格、痛みの場所、マットレス、膝上げの使い方で変わる

背上げ前に身体の位置を整える

背上げを始める前に、身体がベッドの折れ位置に合っているかを見る

腰の位置が下がりすぎていると、背もたれを上げた時に骨盤が押される
肩が上に寄りすぎていると、枕が先に動いて首が詰まりやすい

寝た状態で、腰のあたりがベッドの曲がる位置から大きく外れていないか
まずここを見る

背上げで毎回足側へずれるなら、角度より先に寝る位置を直す

背上げは10度、20度、30度で止めて確認する

リモコンを押し続けると、気づいた時には角度が上がりすぎていることがある

最初は、10度前後で一度止める
腰や胸が苦しくないかを見る

次に20度前後
枕が押されていないか、敷きパッドが足側へ動いていないかを見る

最後に30度前後
足を横へ出せるか、手すりへ手が届くかを確認する

この時、敷きパッドが指1〜2本分でも動くなら、数日使ううちに毎回直す手間になりやすい
背上げ後のずれは、1回だけでなく3回ほど同じ動作を試すと見えやすい

電動ベッドの膝上げは身体のずり落ち対策になる

背上げだけで上体を起こすと、身体は足側へずれやすい
背中が起きる力に対して、骨盤や脚が下へ引かれるためだ

そこで使いたいのが膝上げ
先に膝を少し上げると、身体が足側へ滑るのを抑えやすい

ただし、膝上げも上げればよいわけではない
小柄な人や太ももが短い人では、ベッドの膝が曲がる位置と本人の膝の位置が合わず、かえって身体が下へ引っ張られることがある

膝上げは、背上げの補助として少しだけ使うのが基本
足が突っ張る、膝裏が浮く、身体が丸まりすぎるなら角度を下げる

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背上げと膝上げは順番で変わる

家庭で試すなら、いきなり背上げを最大にしない

先に膝を少し上げる
そのあと背中を10度、20度、30度前後と段階的に上げる

背中が起きたら、足を横へ出す前に一度止める
この時に腰が足側へ落ちていないかを見る

足を横へ出してベッド端に座った時、足裏が床につけば次の動作へ移りやすい
足先だけしか床につかないなら、ベッドの高さも見直したい

背中の圧迫感がある時は無理に引き起こさない

背上げ中に背中や腰がマットレスへ押し付けられる感じがあるなら、無理に角度を上げない

自分で動ける人なら、肩や腰を少し浮かせて圧迫を抜く
自分で動けない人を介助する場合は、腕だけで引っ張ると痛みやずれにつながりやすい

痛みがある、身体を動かしにくい、介助が必要な場合は、専門職に姿勢の作り方を確認するほうがよい

苦しさが出た時は、角度を上げるより一度戻すことが先

電動ベッド用マットレスは硬さとずれを確認する

家庭用介護ベッドの選び方で見落としやすいのが、マットレスとの相性

本人が「硬いほうが安心」と感じても、背上げしてみると背中や肩まわりが痛くなることがある
反対に柔らかすぎると、端に座った時に腰が沈み、立ち上がる前の姿勢が不安定になる

電動ベッド用マットレスは、寝心地だけでなく曲がり方とずれ方を見る

マットレスが硬すぎる時は背中が浮きやすい

電動ベッドは、背、腰、脚の部分が動く
マットレスが硬すぎると、ベッドの動きについてこられず、背中や腰の一部に圧が集まりやすい

背上げした時に、背中の一部だけが強く当たる
肩甲骨のあたりが痛い
腰だけが押される

この状態なら、背上げ角度よりマットレスの硬さや敷き方を見る

厚い敷布団を重ねると柔らかく感じることもあるが、背上げ時に寝具ごとずれる場合がある
追加するなら、まず薄めの敷きパッドで様子を見るくらいにとどめたい

マットレスが柔らかすぎる時は立ち上がりにくい

柔らかいマットレスは寝た時に楽でも、起き上がりでは不安定になることがある

ベッド端に座った時、腰が深く沈む
膝よりお尻が下がる
立とうとした時に身体が前へ出にくい

この場合は、寝心地が良いことと、起き上がりやすいことを分けて考える

起き上がり目的なら、寝た姿勢だけでなく、ベッド端に座った姿勢まで確認する

敷きパッドと枕のずれは数回試すと分かる

背上げ後に、枕が上へ押される
敷きパッドが足側へ寄る
マットレス自体が横へ少しずれる

この小さなずれは、1回だけだと見落としやすい
しかし毎朝、毎晩直すことになると負担になる

確認する時は、背上げ前に敷きパッドの端をベッド端に合わせる
背上げ後、どのくらい足側へ動いたかを見る

指1〜2本分なら許容できる家庭もある
手のひら半分ほど動くなら、寝具の組み合わせを見直したほうがよい

ずれ幅は厳密な数字より、毎回直す手間になるかで判断する

家庭用介護ベッドの選び方は高さと手すりを見る

家庭用介護ベッドの選び方では、モーター数や価格より先に、起き上がり後の姿勢を見る

背中が起きても、足裏が床につかないと立ち上がりにくい
手すりが遠いと、上体を前へ出す時に不安が残る

特に夜中のトイレでは、寝ぼけた状態で動くことが多い
明るい昼間にできる動作でも、夜はリモコンや手すりの位置が分かりにくくなる

家庭用介護ベッドは、寝る場所ではなく立ち上がる直前の姿勢で選ぶ

足裏が床につく高さに合わせる

ベッド端に座った時、足裏全体が床につくかを見る

かかとが浮く
足先だけ床につく
膝が伸びすぎる

この状態では、立ち上がる前に身体が不安定になりやすい

本人が「高いほうが楽」と感じても、実際に足を横へ出して座ると合わないことがある
高さ調整できるタイプなら、寝た状態ではなく、端に座った状態で足裏を見る

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手すり位置は背上げ後に確認する

手すりは、付いていれば安心というものではない

背もたれを上げると、頭側の手すりが身体の後ろへ隠れる
中央の手すりは降りる時に邪魔になる
足側の手すりは、起きた姿勢では手が届かない

こうしたずれは、平らな状態では分かりにくい

確認するなら、背上げ30度前後まで上げた状態で行う
足を横へ出し、ベッド端に座り、自然に手を伸ばして握れるかを見る

手すりは寝た時ではなく、起き上がった後の手の位置で判断する

リモコンは夜中に取れる位置に置く

朝は問題なくても、夜中は動きが変わる

暗い部屋で目が覚める
トイレへ行きたい
身体を起こそうとしてリモコンを探す

この時、リモコンが枕元の奥に落ちていると、背上げする前に身体をひねることになる

リモコンは、寝た姿勢で手を伸ばして取れる位置に置く
コードがあるタイプなら、手すりや布団に引っかからないかも見る

夜中に使う人ほど、リモコン位置は使い方の一部になる

家庭用介護ベッドのモーター数は生活場面で選ぶ

家庭用電動ベッドには、1モーター、2モーター、3モーターのタイプがある

数字が大きいほど細かく調整しやすいが、必ず上位タイプを選べばよいわけではない
見るべきなのは、本人がどの場面で困っているか

1モーターは読書やテレビ中心なら使いやすい

1モーターは、背上げのみ、または背上げと脚上げが連動するタイプが多い

ベッドで本を読む
テレビを見る
少し上体を起こして休む

こうした目的なら十分なこともある

ただし、夜中のトイレや起床時の立ち上がりを助けたい場合、調整幅が足りないことがある
高さ調整や独立した膝上げが必要な人には合いにくい

2モーターは起き上がり補助に使いやすい

2モーターは、背上げと脚上げ、または背上げと高さ調整ができるタイプが多い

朝の起き上がり
夜中のトイレ
軽い介助

このあたりが目的なら候補にしやすい

ただし、背上げと脚上げがどのように動くかは機種で違う
連動だけなのか、別々に調整できるのかは確認したい

起き上がり目的なら、背上げと膝上げを別々に見られるかが大事

3モーターは高さ調整まで必要な人向け

3モーターは、背上げ、脚上げ、高さ調整を別々に動かしやすい

小柄な人
足裏接地を細かく合わせたい人
家族が横から支える場面が多い人
介助者の腰の負担も考えたい家庭

こうした場合は使いやすい

ただし、本格的な介護制度や介護保険申請の話は、この記事では深掘りしない
ここでは、家庭で起き上がり動作を整えるための確認点に絞って考える

電動ベッドの設置は寝室とトイレまでの導線で変わる

電動ベッドは、本体を置ければ終わりではない

玄関から寝室まで運べるか
寝室で向きを変えられるか
ベッド横に人が立てるか
コンセントに届くか
夜中にトイレまで歩けるか

ここまで見る必要がある

レビューでも、組み立てに大人2人で約2時間かかった例や、説明書の向きを間違えてやり直した例がある
電動ベッドはフレームが重く、設置後に向きを変えるだけでも負担になりやすい

買う前に見るのは商品サイズだけでなく、寝室の中で動ける余白

賃貸の狭い寝室はベッド横の余白を見る

賃貸や狭い寝室では、ベッド横の通路が細くなりやすい

ベッド横に立てないと、シーツ交換、リモコンの回収、転倒時の声かけがしにくい
家族が横から支える場合は、片側だけでも人が立てる余白がほしい

厳密な数字より、実際に横へ立って腕を動かせるか
ここを見る

ベッドを壁にぴったり寄せると、寝る時は省スペースでも、介助や掃除では扱いにくくなる

戸建ての2階寝室は搬入と夜中の移動を見る

戸建てで2階に寝室がある場合は、搬入と夜中の動線を見る

階段を通るか
廊下の曲がり角を回れるか
設置後にトイレまで安全に歩けるか

夜中に何度もトイレへ行く人なら、ベッドだけでなく、寝室からトイレまでの明るさや障害物も大事になる

電動ベッドで起き上がりが楽になっても、足元に家具やコードがあると別の不安が残る

起き上がりを助けるなら、ベッドから立った後の数歩まで見る

コンセントとリモコンコードは先に確認する

電動ベッドは電源が必要になる

寝室に入れてからコンセントが遠いと、延長コードが必要になる
コードが足元を横切ると、夜中の移動で引っかかりやすい

リモコンコードがある場合は、ベッド柵や布団に絡まない位置に置く
無線タイプでも、寝たまま手が届く置き場所を決めておきたい

設置前に、コンセント位置、ベッドの向き、頭側をどちらにするかまで見ておくと、あとで動かす手間が減る

電動ベッドの使い方でラクにならない時に見る場所

背上げ30度前後を試しても、起き上がりが楽に感じないことはある

その場合、角度をさらに上げる前に、身体の位置、枕、膝上げ、マットレス、高さを順番に見る
同時に全部変えると、何が原因か分かりにくい

枕が高い時は首が詰まりやすい

背上げすると、枕の角度も変わる

枕が高いまま背もたれを上げると、あごが引かれて首が詰まる
寝た時はちょうどよくても、背上げ時には合わないことがある

背上げ後に息苦しい、首の後ろが押される、頭だけ前に出る
この場合は、角度より枕の高さを見る

背上げ時の枕は、寝心地ではなく首の詰まりで判断する

身体が足側へずれる時は寝る位置を見る

毎回、背上げ後に腰が下がるなら、身体の位置が合っていない可能性がある

寝始めの位置が下がっている
マットレスが滑る
敷きパッドが動く
膝上げが合っていない

原因はいくつかある

まずは平らな状態で、腰とベッドの曲がる位置を合わせる
そのあと背上げを3回ほど試し、ずれる方向を見る

足側へ同じように動くなら、寝具や膝上げの使い方を見直したい

背中や肩が痛い時はマットレスを見る

背上げ後に背中や肩まわりが痛い場合、マットレスが合っていないことがある

硬すぎると一部に圧がかかる
柔らかすぎると身体が沈み、起き上がり前に姿勢が崩れる

薄い敷きパッドで調整できる場合もあるが、厚い布団を重ねるとずれやすい
まずは、背上げ後のマットレスの折れ方と、背中の当たり方を見る

痛みが強い、しびれがある、骨折や手術後の場合は、自分だけで調整を続けないほうがよい

家庭用介護ベッドの選び方は商品比較より動作確認を優先する

家庭用介護ベッドを選ぶ時、商品ページの機能数や価格だけで判断すると、使い始めてから困ることがある

特に見るべきなのは、朝と夜の動作

朝は、仰向けから背上げし、足を横へ出し、手すりを握って立つ
夜は、暗い部屋でリモコンを取り、トイレへ行くために身体を起こす

この2つの場面を想像すると、必要な機能が見えやすい

朝の起き上がりは足を横へ出すまで見る

朝の起き上がりで大事なのは、背中が起きることだけではない

背上げ後に足を横へ出せるか
ベッド端に座れるか
足裏が床につくか
手すりを握って前へ体重を移せるか

ここまでが一つの動作になる

背上げだけで止めて判断すると、実際の起床場面とズレやすい

夜中のトイレは暗い状態で確認する

夜中のトイレでは、昼間より動作が雑になりやすい

リモコンが見つからない
手すりを探す
スリッパに足を入れそこねる
コードや家具に触れる

こうした小さな引っかかりがあると、起き上がりが楽になっても不安が残る

寝る前に一度、部屋を暗めにしてリモコン位置と足元を見ておく
それだけでも、夜中に迷う場所が分かりやすい

夜中に使うなら、ベッドの機能より先に手が届く場所と足元を見る

家族が介助するなら横に立てるかを見る

本人が少し支えを必要とする場合は、家族がどこに立つかも大事になる

ベッド横に立てない
手すりが介助の邪魔になる
高さが低すぎて家族が腰を曲げる

この状態では、本人だけでなく介助する側の負担も増えやすい

家族が支える前提なら、ベッド横に立って、肩や背中へ手を添えられるかを見る
壁際に寄せすぎると、あとから動かしにくくなる

電動ベッドとマットレス調整で最初に変えること

電動ベッドの起き上がりにくさは、背上げ角度だけで起きるものではない
膝上げの有無、身体のずれ、マットレスの硬さ、足裏が床につく高さが重なると、朝や夜中の動作で違和感が出やすい

最初に変えるなら、背もたれを一気に上げる使い方をやめる

平らな状態で身体の位置を整える
膝を少し上げる
背上げを10度、20度、30度前後で止めて確認する
足を横へ出し、足裏が床につくか見る
手すりに自然に手が届くか見る

この順番なら、どこで困っているのか分かりやすい

痛みや息苦しさがなければ、数日同じ角度で使ってみる
敷きパッドが毎回ずれる、枕が押される、背中が痛いなら、角度ではなく寝具や高さを見直す

電動ベッドは高く起こすほど楽になる道具ではなく、起き上がる前の姿勢を整える道具
まずは30度前後を目安に、膝上げ、マットレス、足裏、手すりをひとつずつ確認していくほうが、家庭では失敗しにくい

監修:鈴木隆
保有資格:家電製品アドバイザ